「ジャズクラブ」と「ライブハウス」の違い
全く個人的な見解なので、あしからず
音楽にあまり詳しくない方の中には、ちょっと誤解されている方もいるかと思いますので、ミュージシャンの立場から、先日、コロナウイルスによるクラスター感染が起こったのではないかと疑われる大阪のライブハウスの実情と、僕が普段、その活動の中心としてよく演奏する、いわゆる「ジャズクラブ」との違いについて、簡単にご説明したいと思います。

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濃厚接触に関して

大阪のライブハウスは、いわゆるオールスタンディングといって、会場のお客さんが、皆が一緒に飛んだり跳ねたりできるように、テーブルや椅子は一切置かず、その中を、まるで満員電車の中にいるかのようなような密度で、立ったままで音楽を聴くという形態です。その状態で、大声で叫んだり歌ったりするのですから、これはもう、これ以上ないというほどの濃厚接触になると思います。

一方、ジャズクラブでは、特に昨今の不況とジャズ人気の下降を受けて、お客さんは両手両足の指で数えられるほどしかいないこともしばしば。
スペースの大きさではどちらも同じくらいの場合も多いですから、そんな人数しかいないジャズクラブでは、お客さん同士の濃厚接触など、望むべくもありません。(いや、その気になれば、お客さん同士、2メートルの間隔を開けて座ってもらうことも可能かも?)
ただ逆に、その代わりと言ってはなんですが、ミュージシャンとお客さんとの濃厚接触のチャンスは多いのかもしれません。

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会場の年齢層

オールスタンディングの場合、何時間にもわたって座ることが出来ませんし、さらにはその間もずっと飛び跳ねたり歌い続けなければならないということで、観客の年齢層は当然、かなり低めでしょう。若くないと、そんなことできませんよね!

そのうえで、ですが、若年層は、たとえウイルスに感染しても、本人は元気なので、なかなかそれに気づかないことも多いとか。そしてそのウイルスを、周りの高齢者たちに移すことによって、その方々の中から、重篤な症状が出る危険性があるそうです。だからチョロチョロ表に出るなと。でもそれって、まるで中世ヨーロッパでペストが蔓延したときの、ネズミのような扱われ方ですよね。

そうそう、伝えられるところによると、大阪のライブハウスでの感染者の中には、40代くらいの方もいるように聞きます。ぼくの個人的な感想としては、
「よお、その歳で、この手のライブに行けるなぁ。めっちゃ元気な人!」

一方ジャズクラブでは、会場を見渡せば、そこにおられる方は、ぼくと大体同じような世代、すなわちほぼ前期高齢者前後の年齢、あるいはそれ以上。
この年齢の人なら、感染すればまず重い症状となるでしょうから、そんな体調で、ジャズのような難解で重い音楽を聞きに行こうなんて、考えるはずもありません。当然、家で床に伏せているでしょう。

そんなことで、両者は似て非なるものなのです!

いま報道では、ライブハウスはまるでウイルスの巣窟のように言われていますが、その真意の程はわかりません。
が、少なくともジャズクラブは、ご説明した通り、昨今特に人もまばらですし、若者もいませんから、過度に恐れる必要はありません。
嘘だと思われるなら、是非僕のライブに来てみてください!
元気な高齢者が、まばらに地味に、しかし熱く盛り上がってますから。

そうそう、彼らは飛び跳ねることはまずありませんが、その代わり、その足で微妙にテンポをとりながら、ひっそりと盛り上がっていらっしゃいます。(なのになのに、求めても、手拍子しない方も多いです!)

とにかく、そんなジャズ通の方も少なからずいらっしゃいますし、ステージからそんなジャズ通を見つけると、「ああ、今日もライブをやって良かった!」と、ちょっぴり救われる想いになります。

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