新年早々のブログに多くのコメント、ありがとうございます。
やはりこの日本のジャズの状況に危惧の念を抱いているかたが多いのですね。
なかには、「オーディエンスの感性の質を上げるのも音楽家の重要な責務だ」という意見もありました。その通りだと思います。質の高い音楽をしっかり発信していくことは、音楽家としてとても大事な事だと思います。多くのミュージシャンがそういう意識で音楽作りをすれば、少しでもよくなるのではないかなと思いますし、多くのミュージシャンが実際、そういう意識で取り組んでいるのだろうと思います。
またかつての日本のジャズミュージシャンは、そんな想いでやって来たのではないのかなぁと感じます。
でもなかなか状況が変わらない、あるいは以前より悪くなっているのではないかと感じるのはなぜでしょう?
一つには、オーディエンスの質に関して音楽家が出来ることには限界があるのではないかということがあるともいます。
僕は最近ずっと感じるのですが、この国の政治がここまで混迷しているのは、もちろん政治家の質もありますが、やはり第一義的には、それを選んでいる有権者の質が、そのまま政治に反映しているからだとおもうんですよね。
やはりもっともっと真剣に、質の良い政治家を選ばないと(もちろんまずはそういう人が立候補して、当選する仕組みを作らないといけないのですが)いけないとおもいます。
音楽も同じで、オーディエンスが自ら自分の感性を磨いてくれないと、ひいては、いい音楽家を育てられないのじゃないかなって思います。
そして良いものはいい、良くないものは良くないという発信をして頂ければと思います。
政治もそうですが、サッカーにも同じようなことがいえると思います。
日本のサッカーが昨今ここまで強くなったのは、それをサポートするサッカーファンの目が肥えてきたからというのもあると思います。
サッカー関係のインターネットの書き込みなどを見ると、パフォーマンスの悪い試合後などには、サッカー関係の評論家はもちろん、一般のかたまで含め、辛辣な意見が飛び交います。
これをジャズに置き換えるとどうでしょう?
ライブの後に、「あそこであのプレイはないでしょ?」「あの展開じゃ、誰にも伝わらないよ!」「そもそも、ちゃんとトレーニングしているわけ?」なんて書き込みが、インターネットにバンバン載ったりしたら、めげるでしょうね。
まあ、そこまでとはいいませんが、そういった厳しい評価にさらされるというのも、高い質のものを作り上げる時には大事なのかなって思います。
とにかく、音楽家とリスナーがお互いに切磋琢磨していい音楽を作り上げ、そしてお互いに幸せになる。そんな状況が出来ればいいですよね。
そういう意味ではもうひとつ、ジャズファンにお願いしたいことがあるのです。それは、とにかくライブに足を運んでください、ということです。
CDが売れないという状況はもう今後、変わることがないでしょうが、幸いCDの売り上げで食っているジャズミュージシャンはいません。もちろんレコード会社が儲からないので、アルバムが出せないという事態には陥りますが、EQの今回の作品のように、何とか自主で、ということもできます。
ただライブにお客さんが来なくなると、まずお店がつぶれてしまいますので、ジャズミュージシャンが切磋琢磨する場が消滅してしまいます。こうなると、CDにはできなくても、何とかいい音楽を創って発信しているミュージシャンたちの発表の場が完全になくなってしまいます。しかもジャズは、ポップスとは違って、作品として記録するものというよりも、やはりライブにおいて、即興で創造していく部分が多い音楽ですから、ライブで演奏する場が減っていくというのは、すなわちジャズの死を意味すると思います。
このご時世、ジャズを演奏する場を維持していくことは並大抵のことではないと思います。特に、東京はまだジャズ人口も多いですから良いとしても、地方都市では本当に大変なことだと思います。
実際最近、EQなどで地方のツアーをしようとしても、どこも本当に状況が大変なようで、「とても東京から四人も呼べるようなギャラは出せない」という返事が多いです。その都内でも、「最近本当にお客さんが減って、大変です」と悲鳴を上げるお店も多いようです。
ということでジャズファンの皆さん、是非ジャズクラブやジャズの聴けるライブハウスに足繁く通って頂いて、そこから何とかジャズの灯を消さないよう、盛り上げていこうではありませんか!