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楽器との出会い
僕がバークリーにいた、1986年に買った楽器です。
ボストン・シンフォニーホールの横のある、ボストン交響楽団御用達の楽器屋さんで購入しました。
べつにこのジュザックという製作者の楽器が欲しかったわけではなく、その楽器屋のおじさんに、何でもいいからいいベースが入ったら知らせてくれといって、頼んでおいたら、ジュザックが数本はいったからという知らせが来ました。そのなかの1本です。
本当はこれよりワンランク上のものが欲しかったのですが、このベースが6300ドル(当時で90万円くらい?)だったのに対して、それは8500ドル位していて、資金が足りませんでした。
しかもいい方の楽器は、とっても綺麗で、すぐにでも弾けるような状態だったのに対して、僕の購入したやつは、表板以外はすべてぐしゃぐしゃ。ほとんどバラバラ死体のような状態でした。
でもおじさんが、「いや、この表板がしっかりしているから大丈夫!その分、とっておきの、太い黒炭の指盤をつけて置いてあげるよ」ということで、泣く泣くこちらにしました。
でもいまとなっては、それで良かったのかなぁ、なんて思います。
とにかく超々お気に入りの楽器。
もうこれ1本でなんの不満もありません。
今までいろんないい楽器を弾く機会がありましたが、どんな楽器よりも自分に合っている気がします。
きっと生涯、これ1本で行ける気がしています。
まあ、自分が劇的にうまくならない限り、あるいは劇的に金持ちにならない限り。
ピック・アップについて
僕は現在、ウィルソンとシャトラーという、2つのピックアップをブレンドさせて使用しています。
ウィルソンの方は、いわゆる、ピエゾ・タイプのピック・アップで、パンチがあり、かなり高音域をしっかり拾います。
しかしその成分だけだと、アコースティック・ベースにはちょっと堅すぎる音になってしまいします。
でもこれ以前に使っていたフィッシュマンよりは、パンチもあり、拾うことのできる帯域も、幅広いといえます。
そんな理由で僕はウィルソンに変えました。
しかしそれだけでは、先ほどもいったように、アコースティック・ベースの音としては堅すぎて不十分なので、マイク式のシャトラーの音を混ぜています。
これも、これ以前に使っていたデビッド・ゲージのリアリストというピック・アップと比較すると、音圧があり、これまた拾う帯域が広く、しかも特性を2パターン、変えることができるので、いろんな状況に対応できます。
そんな理由で、こちらもリアリストからシャトラーに変えました。
ただどちらもとっても高額です。
フィッシュマンやリアリストが共に実売価格2~3万円くらい(でしょうか?)に対して、ウィルソンもシャトラーも約7万円以上です。
なかなかプロでもないと、ここまでは予算をかけられないでしょうね。
とにかくアコースティック・ベースに関しては、本当にピック・アップが悩みの種です。
本来そういった電気的システムで音を拾うことには向いていない楽器ですからね。
生音が一番いいに決まっています。
でもライブで、しかもドラムやサックスと一緒に演奏しようとすると、そうもいっていられません。
逆に僕は、どんな小さな音量でのライブの時も(例えば10人くらいのキャパの店でのピアノとのデュオなんという状況)、アンプを通すようにしています。
僕にとっては、アンプを通った音が、ぼくのアコースティック・ベースの音の一部であると考えるようにしています。
そうすることによって、ピック・アップやアンプ、スピーカーなどにも厳しくこだわることができると考えるからです。
そうでないと、いつもアンプを使っているにもかかわらず、「これは僕の音じゃないから」なんていうネガティブな思考になる気がするからです。