なんと、4ヶ月ぶりのブログ更新。ほんま、すんません。
さて今回の話題は「ミュージシャンの臭い」についてです。
先日、友人のジャズミュージシャンと休憩時間に喋っている時に出た話題ですが、「最近の若いミュージシャンは本当に技術がある。でも臭いがないよね!」
僕も本当に同意したのですが、さてでは僕にどんな臭いがあるのか?
おっと、臭いって、もちろん解っていただけると思いますが、加齢臭や体臭じゃないですよ。ミュージシャン、特にジャズ周辺にいる人達の、あの独特の臭い!
僕の世代ではかろうじて、僕以前の、それこそ戦前・戦中・戦後を生き残ってきたジャズミュージシャンの諸先輩方を知ってるので、その方々が持っている独特の臭いを知っています。
なんといっても松本英彦さん、あのひょうひょうとした物腰なのに、いざサックスを吹き出せば、「このおじいちゃん、なんて強力な臭い!?」
ほんとうに素晴らしいミュジーシャンでした。英彦さんと一緒に出来たことは、日本人ジャズミュージシャンとしての貴重な財産です。
そして秋吉さん。ほんの一度だけのスペシャルビッグバンドとしての共演でしたが、やはり強力な臭いを持った方でした。といっても過去形ではなく、今もご活躍中です。
また是非ご一緒させて頂きたいものです。
そして、本当にお世話になったし、何年にも渡って僕を使って頂いている渡辺貞夫さん。
貞夫さんの臭いに関しては、ここで語るにはあまりに無理があります! 貞夫さんと一緒の時間を過ごせたことは、いままでももちろん、きっとこの先も、ぼくの本当に重要な財産になることは間違いありません。
まあ、それはさておき、とにかく強力な臭いの持ち主です!
そして日野兄弟。皓正さんのバンドにも数回、誘って頂きましたが、なんといっても弟の元彦さん。
通称トコさんですが、一時期、僕をサウンド・ディレクターとして使ってくださり、「Salling Stone」「It’s There」「Hip Bone」という3枚のアルバムを作りました。
とにかく強烈な臭いを出すドラマーでした。僕のデビューアルバム「三色の虹」でも、その独特の臭いを出してくださっています。
そして、ジャズ・ミュージシャンではないですが、ここ8年ほどずっとサポートさせて頂いている森山良子さん。一見、透明感があって、臭いなどこれっぽっちも無いように見えますが、いや、この人の臭いと言ったら! 大将、凄いです!
それ以外にも、多くの、強烈な臭いを持った諸先輩方と共演させて頂きました。
さて翻って今の僕にはそんな臭いがあるのだろうか?
あるいは僕の世代、そして僕より若い世代のミュージシャンにそういった臭いがあるのだろうか?
単に先輩だから、ちょっと怖そうな人達だから、それを臭いだと感じたんだろうか?
いや、やっぱりそうじゃないと思うんです。
戦中・戦後の時代に、ジャズという敵性音楽にはまり、そこに人生をかけた人達には、やっぱり今の僕たちとは違う、そういった状況でも、海外の音楽と向き合うだけの、圧倒的に重要な想い入れがあったんだと思うんです。
それが、彼らの醸し出す臭いになっているんだと思うのです。
ということは、もし自分にその臭いがないのだとしたら、今音楽を演奏する、あるいはジャズを向き合う意味合いを、圧倒的な重みで自覚して演奏しているんだろうか?
音楽を生涯の生業として、ツイッタ-でつぶやいたように、「音楽のない人生なんて有り得ない!」といえるほど、本気で音楽と対峙しているんだろうか?
空気や水と同じように、今やなんの苦労もなく、手をちょっと伸ばせばいい音楽(かどうか、意見も分かれるでしょうが)を手にすることが出来るこの時代、音楽がどれほど大事なのかを真剣に考えて、僕は音楽をやっているのかなぁ?
そんなことをとても重く感じる今日この頃です。
自分を含め、今の若いミュージシャン、いや、若い日本人に、人間としてのあの強烈な臭いが消えていっているじゃないでしょうか?
ちょっと、この国、消臭と滅菌、過剰すぎませんか?
すくなくとも、消臭と滅菌は、音楽にはマイナスだと思うのですが、如何でしょうか?