客席ガラガラのライブに思う

友人のサックス奏者、三木俊雄さんがツイッターで、こんなブログを紹介していました。
「客席ガラガラの演奏会に思うこと http://nailsweet.jugem.jp/?eid=945」

そうなんですか、クラシックもそうなんですね?

ではジャズの場合、どうなんでしょう? 
都内にある、基本的には海外アーティスト出演が中心の高級ジャズクラブのお客さんの入りって、どうなんでしょう?
僕は、懐具合もあるし、家が都内から遠いってこともあるし、それよりも、ほとんど毎日仕事をしているので、そういう所にライブを見に行く暇がほとんど無いということもあって、年に一度行くことがあるかないかくらいの頻度なので、昨今、そういうお店にどれくらいの人が毎晩足を運んでいるのか知る由もありません。
しかし、その代わりといってはなんですが、国内組として、毎晩都内などのジャズクラブで演奏しているので、どれくらいの人がそこへ足を運んできてくれいているのかということは、それこそ自分の収入と直結するので、良く分かっています。

やはり確実に減っていることと、そして若い人が少なくなってきているということは、肌で感じます。
まあ、もちろん自分自身が歳を重ねた分、僕のような世代のミュージシャンを聞きたいと思うお客さんの年齢層も同時に上がってきているということもいえるので、だから僕のライブに若い人が減っているのだろうとも思います。
若い層のお客さんは、若いミュージシャンを聞きに行っているのかもしれませんね。
そうだとしたらいいのですが。

で、先のブログにもあるように、ジャズにおけるライブチャージも、一体ほんとうに高いのかどうかということ。
もちろん、先に述べた海外アーティスト中心のお店のチャージが高いことはいうまでもありません。
大体チャージそのものが一万円前後で、1時間そこそこの演奏しか聴けません。
それに食事など加えれば、1人2万円とまではいいませんが、それに近い出費。
これは、相当な裕福層で、かつ音楽好きでないとなかなか出せる額じゃないですよね。

確かに、アメリカやヨーロッパから何人ものミュージシャンを日本の招聘して、しかも都内のかなりのランクのホテルに滞在させて、その上かれらのギャラですから、それほどの額にはなるのでしょうが、それでもなぁ....。
たとえばヨーロッパでは、アメリカから来たミュージシャンを見る時に、あんな額になるのでしょうか? 
まあ、ヨーロッパとアメリカは近いですから、飛行機代は若干安いでしょうが、今は日本~アメリカだってかなりの格安チケットもあるだろうし。
きっと、アメリカのミュージシャンがヨーロッパに行った時は、何カ国も回ったり出来るから、きっと1回の単価は下がるんでしょうね。
だったら、アジアに来る時も、韓国や東南アジア、中国に行って、1回の単価を下げてくれないかなぁ。
まあ、いずれにしても、もうちょっと安い価格にしてくれれば、僕ももう少し見に行きたいとは思います。
いや、そんな僕も若い頃、日本でもアメリカでも、たっぷりいろんな人の演奏をこの目で見てきたので、まだ良いです。それより今の若い音楽ファンが、もっともっとそういうお店に気楽に行けるような状況が出来ればいいと思います。
やっぱYou Tubeで済ませちゃ、だめですよ!

で、海外アーティストはそれとして、今度は自分の問題。
もちろん、自分のライブにお客さんが少ないというのは、これは第一義的には自分の音楽の質に問題があるのだ思います。
ただ、そうはいっても、やっぱりそれぞれのお店のチャージ代って、ちょっと高すぎませんか?
もちろん、ミュージシャンにギャラを払って、お店の家賃や従業員の人件費を払って、そのうえお店を維持していこうとなると、それなりのチャージ代がかかるんでしょうが、それでチャージを高い設定にして、人が来なくなったら、これは本末転倒。
でも、削れるところといったらミュージシャンのギャラ。
たしかに我々のギャラ、僕が東京に来た25年前と全く変わらない。
いやそれどころか、ここ数年、さがることもまま。なんともなぁ.... 。

それでもギャラ制ならまだ良いですけど、いまはほとんどのお店がチャージバック。
いわゆる歩合制ですね。入った人数分だけ、そのチャージの何%かをミュージシャンにバックする方式。
50を過ぎ、子供を大学に通わせる大黒柱としては、一晩数時間、演奏とその準備に時間をかけて、頂けるお金が数千円というのは、本当に厳しいものです。

でも、もっときついのが、今多くなってきているノルマ性。
さすがに僕はこのシステムでの仕事は、やったことは無いですが、ロック系では当たり前のシステムだったものが、ジャズ系でもそうなってきているというような話も聞きます。
まあ、これはこれで、「おい、ミュージシャン、集客も努力しろ!」ってことなんで、当たり前といえば当たり前ですが。
でもこれじゃもうプロのミュージシャンとはいえません。
だってこれでは、お金払って、そのお店に出させてもらうという仕組みですからね。
ほんと、大変な時代です。

で、先に紹介したブログにもあるように、どうすればチャージを下げることが出来るかって問題。
もちろん、ミュージシャンのギャラが減っては困ります。でも人件費も下げられないし、お店の家賃だって下げられない。
なにか、名案って無いのかなぁ?
このままじゃ、ほんと、ジャズもクラシックも、ただ居酒屋で聞き流されているBGMでしか成り立たない音楽になってしまいます。
優秀な、若いミュージシャンがもっともっと希望を持って音楽を志せるような状況、何とかしないといけないと思うのですが、名案が出てきません。

でも若者よ、くじけないで頑張ってください。
ジャズに、そして生演奏に、未来あれ!

CODA /納浩一 - NEW ALBUM -
納浩一 CODA コーダ

オサム・ワールド、ここに完結!
日本のトップミュージシャンたちが一同に集結した珠玉のアルバム CODA、完成しました。
今回プロデュース及び全曲の作曲・編曲・作詞を納浩一が担当
1998年のソロ作品「三色の虹」を更に純化、進化させた、オサム・ワールドを是非堪能ください!