新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

皆さん、お正月はどうお過ごしでしょうか? 田舎に帰って親孝行? 自宅で映画三昧? あるいは海外のリゾートでのんびり!? 
まあ、それぞれ素敵な2011年を迎えられていることと思います。
しかしのんびりしていられるのもつかの間。あっという間に仕事始めが来て、また慌ただしい日常が始まってしまいますねぇ。

正月早々、こんな話もなんですが、昨今のジャズを取り巻く状況たるや、日々、痛々しいほど厳しくなってきています。たとえは悪いですが、終末医療の患者さんばかりが入っている病棟のようで、「へ~、あの方が先日…。お気の毒に。」とか、「えっ、あちらの方もそんなお悪いの!?」、「もうあの方も来月までは持たないらしいですよ…。」なんて話ばかりです。しかもこれが対岸の火事と言っていられないような状況。末期の宣告がひしひしと我が身に迫ってくるこの感じ、しびれますねぇ。
おもえば、音楽の道に進むことを決めた19歳の春、バークレーに向かって旅立った24歳の冬には、さすがにここまで厳しくなるとは想像もしていませんでした。時代も良かったのでしょうね。貞夫さんや日野さんをはじめとする、大スターの先輩たちもバリバリやっていらっしゃったし(22歳の頃でしたっけ、あの貞夫さんの武道館3ディズは?)、スタジオも全盛時代。一流スタジオミュージシャンになれれば、数年で都内に家が建ったというような話も聞きました。今やそのスタジオミュージシャンという職業も、過去の遺物となってしまいましたからね。「ああ、そんな仕事で食っていたミューシャンもいたね。」って。あと5年もすれば、「ああ、ジャズミュージシャン? そんな音楽で食えていた人もいたらしいね。」というような時代も目の前のようです。これからそういった職業を目指すミュージシャン志望の若者たち、頑張ってね! 僕にはなんにもしてあげられないし、なんの道も切り開いてあげることが出来なかったけど。ほんと、厳しい時代になりましたね。

翻って、ではそれ以外の音楽はどうなんでしょう?
今年もちょっとだけ、大晦日の紅白歌合戦というのを見ました。いや~、売れている人は売れているんですね。クオリティーはさすがに「?」って思う方も多かったですが、でも売れるには売れるだけの何かがあるというのも感じました。アンジェラ・アキさんとか、「おばあさんのトイレ」でしたっけ? ああいう癒し系の唄は、この時代ならではなんでしょうか? 皆さん歌唱力もあるし。演歌のかたもさすがという感じ。
しかししかし、音楽ってもっといろいろあるんじゃないのかなぁ? まあ紅白という歌番組の特殊性を考えれば、ああいう人選、ああいう選曲で良いのかもしれませんが、じゃあ普段はどんな音楽番組があるのって状況ですよね。
テレビというメディアも近い未来、絶滅に瀕するであろうということは想像に難くないことなので、テレビがどうしたの、こうしたのっていう議論も、もうあまり意味がないのかもしれません。きっといい音楽をキャッチ出来るかどうかは、それぞれの人の感性や、アンテナの張り具合に依ってくるのだということでしょうか?

話をジャズに戻しても、確かにジャズが、感性のいい人や、いい音楽を求めてアンテナを張っている人に届くだけのいい音楽を発信しているかどうか、怪しいともいえます。そのあたり、ジャズに携わる1人1人が、もう一度真剣に、自分の胸に手を当てて考え直す必要は大いにあると思います。売れているミュージシャンが実際どれほどのクオリティーであるのか、また、状況的には誰も知らないといっていいほどに埋もれてしまっているミュージシャンの中にもほんとうに頑張っている人が多くいるのではないかということを。

今年は50歳を迎えた年でもあります。「芸は50から」とは、よく聞く言葉でもあります。自分自身、ここからが本当に勝負、しかも本当の意味での、自分の芸を磨き極めるという意識を持っての、勝負の年の始まりだと思っています。実際、ジャズや音楽を取り巻く状況がどうであれ、どんなつまらない人が売れていようが、どんなに素晴らしいと思う人が全く見向きもされないでいようが、僕にはどうしようもないことで、さらには僕の知ったことではありません。僕は僕自身が信じる音楽を、真摯な態度と誠意ある音で奏でていくしかないのだと思っています。でないと、きっと死を迎えた時に後悔するとお思います。

そんなことで、正月早々、初めてのブログで、えらく堅苦しい話になってしまいまして、すいません。まあ、今年もひとつ、よろしゅうたのんます。納浩一、ことしもなんとかちょっとでも納得のいく音をだしていきますので、応援のほう、よろしゅうお願いします。
そして皆さんも良き一年を迎えられるよう、心より祈っています。そしてそして、世界が一刻も早く、戦のない世の中になるように!

CODA /納浩一 - NEW ALBUM -
納浩一 CODA コーダ

オサム・ワールド、ここに完結!
日本のトップミュージシャンたちが一同に集結した珠玉のアルバム CODA、完成しました。
今回プロデュース及び全曲の作曲・編曲・作詞を納浩一が担当
1998年のソロ作品「三色の虹」を更に純化、進化させた、オサム・ワールドを是非堪能ください!