関東はこんな時期に雪!
我が家の桜に、雪が積もっています。
世の中、桜に雪にコロナ。
もうなんだか訳がわかりません!
ということで僕のインターネットサロンに以下のようなご質問をいただきました。
面白い内容なので、全文、アップしますね。
問:
サロンの投稿楽しく読んでいます。
今回のベーシスト列伝(ロン・カーター)もすごく深かったです。
納さんの音楽能力もさることながら、サロンはもとより、ジャズライフやベーマガのコラムなども拝読し、文章力のすごさにすごく感心しました。
構成が論文的といいますか、納さんが文章を書く上で気をつけていることなどあれば教えてもらえますでしょうか?
答:
文章を褒めていただき、恐縮です。
文章が論文的という評価、ありがとうございます。
(実は、卒業した京都大学では、卒論を書いていません!)
自分では当然、そんな風に書けているとも感じていません。
頭に浮かぶものを、そのままパソコンやスマートフォンに打っていっているだけですので、それが論文的になっていると思っていただけるのであれば、本当にうれしいことです。
ただ、僕は本を読むのが好きで(といっても、若い頃は全然読まなかったのですが)、特にルポルタージュやノンフィクションものが好きです。
そんな本を最近結構読んでいますので、どういった書き方、言い回し、全体の話の持って行きようが、読む方により理解しやすいのかというようなことは、そんな本を読んで学んでいるのかもしれません。
それと、もう何十年も、大学や音楽専門学校で教えてきましたので、楽器の奏法や理論に関しては、それが判らないという人は、多くの場合、どういったことで行き詰まり、頭の中で混乱が起こっているのかということも、大体判っていますので、そのあたりの絡まった糸をどのようにほどいていくと良いかというのも、長年の経験である程度判っているつもりです。
その場合、例えば抽象的な音楽という話を、どのように具体的な話に落とし込むかということばかりやっていますから、そのあたりからも、人にわかりやすい言い回しや文章構成を学んできたのかもしれません。
また文章にするという作業は、自分の中で絡まっている糸を、一本ずつほどいていくという作業でもあるように思います。
読んでいてよくわからない文章を書く人というのは、多分、自分の頭の中でこんがらがっているんじゃないんでしょうか?
そういう場合は、一気に書こうとせず、一旦、メモなどに落とし込んで、伝えたいことをどういった流れで書くかというようなことを事前にスケッチしてから、文章にするのもいい手かもしれませんね。
実際、バークリーのビッグバンドのアレンジの授業で習ったことの一つに、まずは全体の構成のスケッチを描くというものでした。
どこでアレンジのクライマックスを持ってくるか、そのためにはテーマはユニゾンなのかハーモナイズするのか、ホーンセクションのテュッティ(数人で、決まったフレーズを吹くという、ビッグバンドならではのアレンジ)はソロの前なのか後なのか、またそれをどれくらいの厚みでアレンジするか、ソリストはどの楽器で、何人くらいか等々。
こういったことを事前に設定せずに、突然譜面にビッグバンドのスコアを書いていくのは不可能です。
多分、僕の頭のなかでも、文章を書く前に、ある程度そんな流れの全体像が見えているような気もします。
たとえば、今回のロン・カーターの記事に関しても、実際に文章にする前に、どの譜面を使用するか、そこからどのような話を膨らましていくのか、またそれらよりもまず自分にとってロン・カーターはどういった存在だったのか、どのような影響を受けたのか、などを考えておきました。
で、ちょっと書き始めてすぐに、「ああ、これはジャズ入門講座伴奏の、循環曲の話にも拡大できるな」と気づいたので、そちらの方も、ベースシスト列伝の執筆の直後に書き上げたわけです。
ということで、論文的にかけているということであれば、その理由は、きっと僕の頭のなかでいつもそのように、物事を思考しているからかもしれません。
あとはとにかく文章を書くという経験でしょうか。
それともう一つは、書き終えてからも、何度も読み返すということも大事です。
誤字脱字を見つけことはもとより、自分で自分の文章を読んでみて、意味不明のところがあれば何度も書き直します。
フェイスブックの投稿ですら、翌日に書き直したりします。
これは文章を、特に公の場に発表するものの責任かと思います。
そうやって、何度も自分の文章を向き合っていると、だんだん、伝わりやすい文章になっていくんだと思います。
いかがでしょうか?