GWの真っ最中の今週ですが、そんなことにうつつを抜かしている暇もなく、差し迫ったアルバムの発売に間に合うように、絶賛、トラックダウンをしています。
場所は、エンジニアの渡辺正人さんのご自宅。
渡辺さんとの出会いは、EQのアルバム「Butterfly Effect」が最初ですが、そのあともいろんな現場でご一緒させてもらっています。
彼はその他、Char、エゴ・ラッピンやゴスペラーズといった、ロックやポップス系のミュージシャンのレコーディングやステージのエンジニアも多く経験されているとのことで、やはりその腕は素晴らしいです。
皆さんもなんとなく分かると思いますが、これまでに写真などでご報告してきた、スタジオでのレコーディングというのは、まさに楽器の前にマイクを立てたり、またエレクトリックベースなどの場合は、楽器に差したシールドからそのままその音を収録するという作業です。
そうやって収録した様々な音は、デジタルのデータとしてバラバラに、録音専用のアプリケーションに入るわけです。
その数は、ドラムスのように楽器の多い場合は、その一つの楽器だけで10トラックを越えるかと思いますが、ビッグバンドというような大編成になると、一体その数は全体でいくつくらいになるのやら。
そうやって取った音も、もしその日のうちに僕が聞きたいといえば、エンジニアはとりあえずラフミックスと呼ばれる音源に落とし込んで、ヘッドフォンや自宅のオーディオで聴けるような簡易なステレオ音源に変換してくれるわけです。
ですが、それはまさにそのときスタジオで録った様々な音を、バランスはもちろん、その音色そのものも、とりあえず適当にステレオの状態に落とした、まさにラフにミックスした状態なので、それをラフミックスと呼ぶわけです。
今回も、録音した直後に聞いたある曲では、ベースの音がひどく堅い音で、それでスラップをバキバキやっているものですから、本当に聞きにくい音と演奏。
自分でも、「ああ、なんてイヤな音なんだ!」と落ち込んでしまいました。
ラフミックスだと、楽器の音もアンサンブルも、変なところがデフォルメされていたり逆に小さかったり、バランスも妙に全体がグシャッと真ん中に集まりすぎていたり、逆に左右に振れすぎていたりと、はっきり言って、なかなか聴くに堪えないような状態のままということなんですね。
そんなレコーディング当日に収録された音の数々を、しっかりゆっくり時間を掛けて、一つ一つの楽器を丁寧に微調整しながらイメージに合った音色に調整していったり、あるいは、各楽器の音量やバランス、ステレオの中での左右や奥行きといった位置(これを定位と言います)を決めていくことによって、僕のイメージにあった音楽に仕上げていくという作業がトラックダウンです。
トラックというのは、それぞれの楽器が収録されているデータ上の場所であり、それをステレオの中に落とし込んでいくので、トラックダウンと呼ぶわけです。
でもこの作業によって、自分自身の音楽が、自分のイメージにどんどん近づいてくるということを、いままさに体感しています。
渡辺さんが実に見事に、僕のイメージに近づけてくれてますし、そのためにも僕は可能な限り、僕のイメージを具体的に伝えるよう努力しています。
そして今回は、ビッグバンドということもあり、今週のビッグバンドのトラックダウンには、小池修さんが全て立ち会ってくれて、見事なまでの指示を出してくれました。
僕にも渡辺さんにもわからないような細かな、そして的確な指摘によって、ビッグバンドが本当に良いサウンドになっていきます。
もうさすがの一言!
小池さんの経験値と知識、そして音楽的センスには本当に驚かされます。
そんなこんなの、本当に一線のプロの皆さんの力に助けられて、とても面白いサウンドに仕上がってきていますので、是非完成をお楽しみに!