新作「CODA」に参加していただいたミュージシャンへのインタビュー動画、その第11回目は、このアルバムの最後の曲「うつろう」に参加してくださった、ボーカリストのHAKUです。
HAKUとは、5年ほど前に知り合いました。
彼女自身は福岡在住ですが、多分関東圏ではあまり知られていないボーカリストではないかと思います。
その出会いなんですが、以前都内に住んでいらっしゃって、今はその福岡に居を移された知り合いのプロデューサーが、その5年前に、彼女のアルバムをプロデュースするということで、彼女のデビューアルバムのCDを送ってくれました。
その送られてきた彼女の音源を聴いて、もう1曲目でぶっ飛びました!
「なんだ、この声? なんだ、この唄い方? 一体だれこれ?」って。
もちろん、世の中には、特にジャズボーカルのフィールドでは、日米問わず、本当に上手いボーカリストはたくさんいますが、僕が求めていたボーカルというのは、そういった技巧派ではなく、彼女のような独特のサウンドを持ったボーカリストだったということです。
そして英語で歌うということも、少なくとも自分のオリジナルを作る場合は全く想定できないという考えもありました。
とにかく音楽は個性的である事が最も大事だと思っています。
そしてメッセージがない音楽は、人の心の奥底に届かないとも思います。
日本語でメッセージを伝える、それが僕のやりたかった音楽の一つの形です。
またすでに還暦も過ぎ、技巧的なことに興味がかなり薄れてきたという自分自身の音楽的方向性の変化もあります。
そんなこんなが相まって、このアルバムで唄ってもらうのはHAKUしかいないということで、彼女に白羽の矢を立てました。
この曲では作詞もしたのですが、実はこのアルバムを作ろうと思い立つほんの数ヶ月前の段階では、まさか自分が作詞をするとは考えもしていませんでした。
でもこのアルバムの一番大事なコンセプトは、「出来ないと思うこと、そしてそれがもしやってみたいと思うことなら、このアルバムでやってみよう!」という逆転の発想。
「これは無理、あれは無理」と言っているのではなく、ならばどうすれば出来るようになるのかを考え、そこから挑戦を始めて見るということです。
そうやって考えてみると、作詞もその一つだったということでした。
さて僕の歌詞、皆さんにはどのように聞こえるのか未だに不安いっぱいですが、是非聴いてみてください。