僕の新作「CODA」のトレーラー動画、第6回目は「黄昏のリヨン」です。
参加メンバー
B. Sax:小池修
Gt:道下和彦、竹中俊二
Wurlitzer: クリヤマコト
Dr:岩瀬立飛
Per:岡部洋一
時は1998年、サッカーW杯の本大会に初めて出場した我が日本代表は、第1ステージ第1戦のアルゼンチン戦を落として、もうあとがない状況で臨んだ第2戦目のクロアチア戦。
場所はフランス南東部に位置するリヨンのスタジアム。
6月というのにまるでいまの東京のようなけだるい暑さ、しかも午後の3時のキックオフということで、両チーム、消耗を抑えたスローな展開。
そんな中、クロアチアのフォワード、ケーヒルが決めた唯一のゴールが決勝点となり、日本は第2戦目も落としてしまいました。これで予選通過の可能性はほぼ消え去ったわけです。
そんなうだるような暑さの中での予選敗退を決める敗北、そして盛り上がりのほとんどなかった試合。
そんなこんなに打ちひしがれながら、「こんな試合を見に、わざわざフランスまで来たんちゃう!」と心の中でつぶやきながら、リヨンの駅までとぼとぼと歩いて帰っていたときの、あの西日のきつさや暑さ、そして重苦しさは決して忘れません。
そんな記憶から付けたタイトルがこの「黄昏のリヨン」というわけです。
ですので、どことなく、ちょっと重くてけだるい雰囲気を出そうと思って考えたのが、バリトンサックスの起用でした。
そしてこの曲ではクリヤマコトさんにウーリッツァーという楽器を弾いてもらっています。
実はこの曲、今回アルバムに収録するに当たって、かつて「B.B.Groove」というユニットで演奏していたときより、さらにファンキーな感じに作り込もうと思いました。
イメージでいうとダニー・ハサウェイの名盤、「Donny Hathaway Live」の「Ghetto」です。
その曲でのダニーをはじめ、強力なメンバーによる演奏や、またアルバムのジャケットの写真からは、ゲットーの重い空気感の中から湧き上がる、黒人達の熱い魂の叫びと強い意志みたいなものが聞こえてきます。
そんな熱い魂の叫びと、激しいグルーブ感を出してみたいということで、ダニーがその曲で弾いているウーリッツァーをクリヤさんにも弾いてもらうことにしました。
竹中さんにも、コーネル・デュプリーさながらのリズムギターを弾いていただき、その上で道下さんの、こちらはサンタナを思わせるようなギターソロが炸裂します。
いや、みなさん、僕のイメージ通りの演奏でした。
それにしても、今年のW杯では、我が日本代表はまさかこのときのような無様な試合はしないでしょうね?