新作「CODA」の動画トレーラー、第9回目は、各自がばらばらに、スタジオや自宅で録音したビッグバンド曲、アルバムの10曲目に収録されている「ひとりぼっちのジョージ」です。
参加メンバー
A.Sax: 本田雅人
T.Sax、B.Sax: 小池修
Tp: 西村浩二、奥村晶
Tb: 村田陽一
Dr: 則竹裕之
Per: 岡部洋一
Programming & Kbd: 小野塚晃
ソリスト: 村田陽一
このタイトルを見た人は、ジョージって誰だろう。日本人?アメリカ人?なんて疑問が湧くかもしれませんね。でも実はこのジョージ、人間じゃないんです。ガラパゴス諸島のある島に生息する、その島特有種のゾウガメのことなんです。
ピンタ島という島で発見されたので、正式には「ピンタゾウガメ」というそうです。研究者達が「ジョージ」と呼んでいたこの雄カメは、生き残った最後の1匹でした。当然子供を作ることはできません。彼が死ねばその種は絶滅します。種として生き残っている最後の1匹なので、Lonesome George(ひとりぼっちのジョージ)と呼ばれていたようです。
かわいらしくも、その謂れを知るとちょっと悲しくなり、ここにも我々人類の負の所業の結果が現れているという、そんなことを感じさせるネーミングだったのでとても気に入り、この曲のタイトルにしました。
このアルバムでは数少ない、自分自身のベースをフューチャーした曲です。昔なら、自分のアルバムなんだからもっとベースソロをというようなことも考えたのでしょう。でもいまや、ちまたには超絶なベーシストが山ほどいます。
YouTubeをちょっと検索すれば、そんなスーパーなベーシスト達の、まさにスーパーなプレイをたくさん見つけることが出来ます。そんななかで、還暦を過ぎた僕が、エネルギッシュで、しかも僕からすれば信じられないような技術を持った若いベーシストと張り合っても、これは結果が明らか。それに還暦も過ぎて、もうそんな考えも捨てました。
ただ、ベースという楽器を音楽的に前面に出すのには、なにもソロを取るということばかりではありません。ボトムを支えながら、ここ一番と言うときに印象的なベースのアプローチを作り込んでいくという方法を、今回のアルバムでは特に中心に考えました。ソロを取るのではなく、でもベーシスト以外では絶対考えられないようなアイデアで、ベースをその楽曲の中心に沿えるということですね。この曲などはその最たるものだと思います。
トロンボーンの村田さんのソロといい、則竹さんのグルーブ感といい、そしてベーシックな打ち込みを作ってくれた小野塚さんのセンスといい、どれも僕の思い通りの音を提供してくれて、ご機嫌な音楽に仕上がりました。