新作「CODA」の動画トレーラー、第12回目は、僕が初めて作詞に挑戦した楽曲です。
おそらくもう次はないと思います。
いや、きっとないです。
ボーカルは、博多在住のHAKU。
そして詩の朗読を僕の娘、納葉にお願いしました。
参加メンバー:
Vo:HAKU
朗読:納葉
P:島健
Gt:三好’3吉’功郎
Organ:秋田慎治
Violin:西田けんたろう
Chelo:伊藤ハルトシ
「うつろう」の意味を調べると、「心や場所が移り変わっていく」という、よく使われる一般的な意味と、もう一つ、「物事がしだいに衰えてゆく」という意味もあります。
例えば「うつろいゆく街並み」というような使い方ですね。
この曲は歌詞から作り始めましたのですが、そのときに最初に浮かんだキーワードが、その「うつろう」、そしてもう一つ、「風」でした。
そのときにイメージしたのが、コロナですっかり萎えてしまった自分の心や、またジャズを始めとする音楽・ライブシーン、ライブハウス、居酒屋、観光業等々の惨状。
時は2020年5月頃だったでしょうか?
最初の緊急事態宣言が出て、「ライブハウスを守れ!」とばかり、クラウドファンディングなどが、あちらこちらのライブハウスを対象に行われていた頃だったと思います。
僕自身も全く仕事がなかったのですが、それでもいても立ってもいられず、自分のCDや、イベント等でもらったTシャツ、家で眠っている楽器やエフェクターを売りに出して、相当な額を各地のライブハウスのクラウドファンディングとして寄付した記憶があります。
ですが、それから1年ほど経った2021年5月頃、状況はほとんど変わらないまま。それまでにもう何度、緊急事態宣言が出されたのか、記憶にもありませんが、とにかく街の灯は消え、ジャズの現場の風前の灯火でした。
そんな中でこの曲の作詞をはじめました。
その時に感じたままを、このアルバム制作を機に歌詞にしてみようと思い立って書いたのが、この歌詞です。
それは、
朗読
風はながれ 時は過ぎていく
街はその色を失い 人はうつろう
歌
街の灯りは 全て消え去り
ゆき交う人の眼は 光を求めている
夜の深い闇も やがて明ける
流されることなく 待っている
風はながれ 時は過ぎていく
彷徨い続けて 人はうつろう
ここで言う「風」とはコロナのこと、そしてもう一つは、よからぬ噂というような「風評」もイメージしました。
当初は、このあとの間奏に続いて、ここまでの歌詞を繰り返すというものでした。
ところがそうこうしているうちにロシアの軍事侵略が始まり、これはもうその衝撃をこの曲に入れ込むしかないといういうことで、この先の歌詞を全て書き換えることにしました。
それが、
見上げる空を 切り裂く風は
一筋の弧を描き 激しく燃え上がる
の部分です。すでに皆さんも、イヤというほどネットやTVで見ているであろう映像を、そのまま歌詞にしてみました。コロナとはもう、全然関係なくなってしまいましたが、その時点で前半の歌詞を読み直してみると、それは変わり果てたウクライナの町並みにぴったりはまることに気づきました。「風」はこの時点で、「ミサイル」に変わったんですね。
そして、
風はやむこともなく 季節は変わりゆく
流されることなく 私は 待っている
というように、平和が早く訪れるよう、そして皆が戦争もコロナもない平穏無事な生活に戻るよう願っているという気持ちを書きました。
HAKUの類い希な歌声、島さんや3吉さんの素晴らしい演奏、納葉の起用などに関しては、ホームページにある解説に詳細に書いていますので、そちらを参照してください。
そしてコロナは止むこともなく、第7波が来ました。
皆さん、気を付けてくださいね!