いや、結構「えっ? こんな小さなところでやるのですか?」と驚かれるような店で演奏することもありますよ。
それこそ10人も入れば、もうトイレにもいけないようなところもあります。そういうところでは当然アンプのボリュームはほとんどゼロに近い状態です。
ほんのちょっとだけ、楽器本体の音量をサポートする程度です。
でも弾き方は変えません。逆にアンプで音量が出せない分(アンプで上げると、他の楽器との音質やブレンド具合が良くないことが多いのです)普段より強い目で弾かなくてはならないことが多いです。
ということで、そんなこんなもやはり経験でしょうか。
場数がものをいう、というのがやはりプロにはいえます。
High-Cに関しては、その弦をつけることで奏法に関して結構デメリット(ミュートのこと等々)も発生しますので、なぜその弦が必要なのか、その弦で何をしたいのかということの音楽的な方向性をしっかり持っておく必要があるでしょうね。
最近僕はほとんど6弦は弾かず、5弦ばかりですが、全く問題はありません。
いまの僕にとってHigh-Cは音楽的に不必要になっています。
さてそういうことをふまえて、その練習法ですが、やはりいままでのような4弦・5弦ベースの練習法ではだめでしょうね。
とにかくよりメロディック・ハーモニックな視点が必要です。僕はとにかくジョン・パテトゥイッチをコピーしました。
僕が始めてHigh-Cを手にした85年頃には彼かアンソニー・ジャクソンくらいしか使っていなかったですからね。
ちょうどバークレーで作曲や編曲のクラスを一杯とっていた時期にも重なりますので、まさにそういった視点でベースの練習に取り組むことができました。
ですから、まずはコピー、それとスケールやコード展開などのハーモニックな視点からの練習、メロディの分析や作曲・編曲といった、本当に音楽的なアカデミックな練習が必要です。
これに関してはほとんど教則本やクリニックビデオはないのかなという気がします。自分で練習法を考え出すしかないでしょうね。
そういえば、オテイル・バーブリッジ(というベーシストをご存じですか?)の演奏映像がでていますが彼なんか相当参考になると思いますが。
インナーウッドの6弦は、とにかく軽いんです!
それまでフォデラの6弦でしたが、もう重すぎて1ステージも使うと肩がぱんぱんに張って終わってしまいました。
インナーウッドの6弦は音もそれなりに良かったですよ。
でもやはり6弦すべてがきっちりなるようにするためには、フォデラの、あの重さが必要なのかもしれません。
ヤマハの6弦も、コンパクトなボディであるためにプリアンプで鳴りを稼いでいるような気がします。
やはりちょっとプリアンプ臭い音になり過ぎですよね。そういう意味ではフォデラはさすがでした。
これといってタッピングそのものの練習はしていません。
やはりこれもコードのアルペジオやハーモニーのアイデアが本当に重要になってきますね。
タッピングそのものはそんな難しい奏法ではないと思います。
ポイントはやはりアイデアではないでしょうか。
それよりも楽器のセッティング(かなりロウアクションでないと無理でしょう)や、ミュートなどに気を配らないとならいないといけないと思います。
それと左右の手のコンビネーションですね。それができていないとリズムがはまりませんよね。
しかもかなりしっかりタップしないと音になりませんし、リズムもでません。
そんな点に気をつけないといけないでしょうね。
最近では、次のアルバムをそろそろ作るぞ、という作曲の納期が迫ったときや、自分のライブが久しぶりにあって「いっちょ、新曲でも書くか!」っていうときに、集中的にやっています。
ふと浮かぶ、というよりは無理矢理絞り出すって感じですね。
作曲にも色々テクニックがあって、そのテクニックを身につければ、簡単なモチーフやコンセプトさえ決まればそこからそれなりの曲に発展させることができます。
これもベースと一緒で、レーニングが必要ですね。
まずプロのベーシストの多くは、譜面があまり読めないとおもいます。
これは実際僕が見たわけではありませんが、こんな僕が世間では「譜面が強いね」っていわれるのは、他が弱いからでしょう。
ましてト音譜がすらすら読める人は少ないと思います。
ぼくはやはりバークレーの作曲・編曲クラスでそういった譜面を一杯書くということをやったのでそこそこ読めるようになりました。
ベーシストもト音を読める方がいいかどうかと問われば、それは読めた方がいいに決まっています。
「英語やフランス語が話せた方がいいですか?」という質問と同じですよね?
でも実生活ではそんな言葉がしゃべれなくても困らないですよね?
でもでも、海外へ旅行に行ったときにはこんな強い味方はないですよね?
読譜も一緒で、そんな状況に一度至れば、とても強い味方になってくれます。
結局そういう状況に自分が進むか否か、という本人の問題です。
多くのベーシストが読めないのは、そういったレベルで止まってしまい、その先に進むことをあきらめているからだと思います。
だから日本にはジャコやオテイル・タイプのスーパーベーシストが少ないんだと思います。
はい、僕もかなりローアクションです。マーカスも僕とほとんど同じような高さでした。それでも1週間のブルーノート公演の、木曜日くらいだったので手が痛くてたまらないっていってました。
ぼくも、週に1回くらいの演奏なら弦高が高くても大丈夫ですが、ツアーなどで何日もライブが続くとなると高い弦高ではもちません。
このあたりがプロとアマの、あるいはほとんど毎日演奏しているようなライブ中心のプロとスタジオセッションマン的なプロとの違いかもしれません。
そういう意味で、状況や指の状態に応じて弦高を変えたりもします。
以前1弦が040〜のセットを張って、小さな力でソロをしてみようとトライしてみましたがイマイチでした。やはりある程度のパンチを出すためには、1弦が045〜のセットでないとダメなのかな、と思います。」
さすがに035〜はほとんどギターのようで、僕のようにウッドで鍛えた指には柔らかすぎます(スタンリークラークはこのセットをアレンビックに張っていたそうですが)ウッドの弦高もかなり低めです。
でもリチャードボナと一緒にやったときに、パンチを出すのは弦高ではなく両手のタイミングだということをいやというほど思い知らされました。
あんなペタペタな弦高であんな強力な音を出すなんて!!!
弦高に関しては、ちまたには大きな誤解が一杯出回っているようですね。
高ければいいというのもではないと思います。
それはさっきもいった演奏の頻度や、あるいは楽器のクオリティーにも左右されます。
もちろんどんな音色やプレイスタイルが求められているかという音楽の嗜好にも依りますよね。
でもそれよりも何よりも結局は自分自身の音をどう作るかということが一番重要なのではないでしょうか。
そのためにはまわりに惑わされてはいけないようです。自分の信じる道を追求する、それがプロのあるべき姿勢かなと思う今日この頃です。
これは簡単には答えられない、難しい質問ですね。
というのは、いいソロをとるためにはいろんなことがクリアーできていないといけないからです。
それがどんなことかを簡単にリストアップするなら、
1)楽器のテクニック
具体的には正確にピッチが取れるのか?
出したいと思うタイミングで、しっかりと抜ける音が出せるのか?
といったことでしょうか?
2)理論的な知識
実際、ジャズの演奏の多くの場合、スタンダードなどのように、コード進行に基づいて、その上でソロをとるということになりますね。
ということは、そこにでてくる様々なコードの機能・スケールがしっかり把握できているのかということがまず重要になります。
そのうえで、そのコードに当てはまるスケールが、瞬間的に頭の中に出てきて、すぐに指板上で再現できるかどうかが、次に重要になってきます。
さらには、その、あてはまるスケールから、美しい、あるいはかっこいいフレーズが導き出せるようにならなければなりません。
3)耳のよさ
自分の出した音のピッチが、周りの楽器としっかりハモっているかどうかを判断できないと、いいピッチで演奏できません。
そのためにはしっかりとイヤートレーニング、言い方を変えればソルフェージュができていないといけません。
そして、さらにいいソロをとるためには、聞こえてきたハーモニーやコード進行に対して、いいフレーズが聞こえてくるというような、創造力を伴った耳の力が必要です。
といった具合で、いいソリストになるために、身につけておかなければならない能力は多岐にわたります。
ですが、あきらめてはいけません。
それぞれの対応策を簡単に挙げておきます。
1)に対して
とにかく練習してください。
スケール練習・アルペジオの練習・アルコによるクラシックの教則本を使った練習などといった基礎練習です。
2)に対して
これはもう勉強するしかありません。
巷に売っている理論書をひもとき、一曲でも多くのスタンダード曲などを分析してください。
それと、可能であれば作曲することをお薦めします。
理論を知らない人に、ジャズ曲の作曲はかなり困難です。
すくなくとも、ジャズをよく知っている人が、「おお、かっこいい!」というような曲を書くことはできません。
3)に対して
とにかくソルフェージュをやってください。
クラシックを勉強している人なら全員といっていいほど、ソルフェージュをやっています。
それ以外の音楽を目指す人は、ソルフェージュをできなくていいなんて道理はないですからね。
そして、やはりコピーです。
気になったフレーズ、かっこいいと思うソロ、自分がうまくソロが取れなかった曲など、何でもいいですから、とにかく人のソロをコピーして譜面に興し、そして分析してください。
それと、書きソロを一杯作ってください。
「枯葉」でも「ブルース」でも何でもいいです。ソロをどんどん書いてください。
時間をかけていいソロが作れない人が、即興でいいソロができるはずがありません。
というようなことで分かったいただけましたか?
先は気が遠くなる程と追いと思われるかも知れませんが、しかしいいソロが取れたとき、あるいは仲間から、「かっこいいソロだったね」なんていわれたときの喜びを想像して、がんばってくださいね。
その曲にどんな楽器・音色が合うかは、その音楽を作る人自身が決めるしかありません。
いろんなベースの音で試してみて、どれがいちばんしっくり来るかを探すしかありません。
僕自身、「なーんにも考えていない」というのは、その日その瞬間そのときのメンバー、そのときの気分に依って、どんな音色、さらにはどんな楽器が合うのかの選択が変わってくるからです。
何も考えていないというより、そのときにならないと自分でも分からない、というのが正直なところでしょうか。
昨日まで「ウッドがいいなぁ」と思っていても、翌日には、「うん、今日はスラップ・ベースでいこう!」なんていうふうに180度、方向性が変わることもあります。
ただ、録音などというように、作品や録音物として記録が残る場合は、少なくともその時点でベストと思える楽器・音色・弾き方を決めないといけませんね。
しかしそれには何か法則があるわけではなく、あくまでその人のセンスに依ります。
そういう意味では、一流のミュージシャンは、皆、自分自身の音色や唄い方・弾き方を持っていますね。
そういうことで、そんなセンスを身につける最も重要な解決策は、とにかく一杯音楽を聴く、特にベースの音色のことについてなら、とにかくベースの音色に焦点を当てながら、いろんな音楽・ベーシストを聴くということでしょう。
すくなくとも我々ベーシストは、それを何年も何年もやり続けています。
ピアノのタッチやニュアンス、はたまたシンセの音色作りと全く同じと 考えてもらって結構です。
フレットレスの効果ですが、やはりその独特の音色と、ニュアンスをいろんなふうにつけることができるという点でしょう。
フレッテッドの場合も、いろんな音色を作れますが、どうしてもフレットがある分、音のエッジがはっきりします。
それがフレッテッドの持ち味でもありますが、その逆に、フレットレスは、金属製のフレットではなく、人間の手が押さえるので、当然丸く柔らかな音になります。
もちろんどちらの楽器でも、弾き方次第でその逆の音色を出すこともできるのですが。
ニュアンスに関しては、もう比較になりません。
それがフレットレスの最大の魅力でしょう。
ですから、もし打ち込みの時に「フレットレス・ベース」を選んだのなら、フレーズそのものだけでなく、そのフレーズの唄い方、特にビブラートやベンディングといった処理をうまくしないと、フレットレス・ベースを選択した意味がないといえます。
ウッドとエレベの両立は、少なくとも僕自身はできていると思っています。僕の生徒でも何人かいますが、本当に大変です。
僕自身、何度くじけかけたか!
僕の場合、エレベを始めたのが14歳で、ウッドを始めた19歳の時には、結構エレベが弾けるようになっていました。そのことが、両立への負担を軽くしたのだと思います。
とにかく、エレベしかしないの人、あるいはウッドしかしない人の、単純に2倍の練習が必要です。
それはもう、ただひたすら練習しているしかありません。
そういう意味では、同時に両方をスタートさせるのは、あまりに負担が大きいかも知れませんね。
僕はウッドを始めたときは、もうそっちばかりで、エレベを触っている暇なんかありませんでした。そうこうしているうちに、24歳でバークリーに行き、そこにいる、強力にうまいエレベ・プレーヤーを目の当たりにして、「これではいかん! エレベもやらねば!」ということで、そのこれから両方をまめに変えながら練習するようにしました。
その頃はもうウッドを始めて5〜6年経っていたので、半々くらいの割合でもいい感じになっていました。
そして、双方の奏法が互換性を持ち始めたのは、バークリーを卒業する頃、ベースを弾き始めて14年目、ウッドを始めて10年目の、28歳のころでした。
そんなわけで、10年は食らいつかないとだめですよ。あきらめないでがんばってください。その努力は、必ず報われるときがあるはずです。
いまは、半々というわけにいかないでしょうから、ウッド7のエレベ3くらいでしょうか?
例えば、騒音の問題等でウッドが弾けなくなる夜は、エレベを弾く、とか、コピーした、かなり困難なウッドのフレーズなんかは、まずはエレベで練習しておくとか、理論的なこと(オルタードやコンディミ・スケールのフレーズ、ベースを使ってのコード進行の解釈等々)はエレベでやっておく、などというのはいい方法だと思いますよ。
いえいえ、控える必要はありません。
どんどんライブでトライして、その都度みんなに迷惑かけて、「ちくしょう! 今度こそ!!」って思って、家に帰って練習する。
これが大事です。ライブで恥をかくことを恐れてはいけません。
もちろん、その、家での練習を怠って、しかもライブで迷惑をかけるというのは、絶対あってはなりませんが。
速い曲というのは、家で練習していて、ちょっと疲れたり、メトロノームとずれたりして、「いかんいかん、もう一度」という風に、やり直しがきく状態で練習しているばかりではいけません。
「もうここでは失敗できん!」というような、ライブならではの、追い詰められた状態で、必死にテンポに食らいついていくと言うことが大事です。そうやっているうちに、力の抜き方が分かってくるはずです。
テンポがいくらくらいまでなら、ですか?
もちろん希望はメトロノームの4分音符が、裏打ちで200、すなわちテンポ=400が理想です。
しかもいま言ったように、メトロノームを絶対裏打ちにして演奏できなければなりません。
この理想に一歩でも近づこう、ということでしょうか?
でも「こりゃ速い!」というのは、最低でもテンポ=320くらいはいってないといけませんね。